笹谷遼平監督の「山歌(さんか)」観に行ってきました

笹谷遼平監督( @sanka_film )の「山歌(さんか)」観に行ってきました。アップリンク京都では今日が最終日。ギリギリでごめん…

高度成長にわく1965年、都会から祖母の家に来た中学生の主人公(則夫)が、サンカ(戸籍を持たず山を漂泊する人々)と出会って…という物語(めちゃくちゃ短く要約するとね)なのですが、見終わった後の余韻、いや余情がというのかな、とてもよかったです。ひとつの強烈なメッセージが残るというわけではなく、自分はなにものなのか?目に見えないものとは?自分にとって自然とは?はたまた登場人物の行く末はどうなるのかなど、いろいろ考える余白があって胸が熱くなりました。逆に言うと受け取る側に委ねている部分が結構あるのかなとも思うけど。
一人で映画館に行くの自体がもう5年以上ぶりやし、その5年間いろいろあってものごとの受け取め方もだいぶ変わっているし(とにかく涙腺が緩くなった。よその赤子が笑うだけでこの素晴らしき世界!と泣きます)さらに身内目線なので、まったく的を得てなかったら申し訳ないですが、もうちょっと続きます。
早速、弟に感想を送ろうと思ってラインしてたときにふと、私はおそらくトニーガトリフ監督の「ガッジョディーロ」と重ねている部分があるなと気づきました。サンカと同じくロマ(ジプシー)を題材にした映画で、私の人生で3本の指に入る映画です。ちょうど則夫と同じぐらいとのきに観て頭を撃たれたような衝撃をうけました。則夫も思春期の鬱屈したときに、マイノリティ(サンカ)の文化に触れ、都会で生きてきた自分はなにものであるかと苦悶します。私も同じ思いをロマ(ジプシー)に抱いていて、マイノリティ側が確固たる自分を持っているように見えて、強烈な憧れを抱いていたのでした。自分がどんなに頑張っても絶対に見れない世界をこの人たちは見てるっていうのがはっきりわかるんです。大人になると、もっともっと世界は複雑だということがわかってきて、「憧れ」を抱いていた無知で想像力のない自分がとても恥ずかしくなるんですけどね…。それはさておきこの映画の終盤にも「あるんだよ。人間だけが見えない世界」という台詞があって(ネタバレに見えますが、パンフレットにも書いてあるのでギリセーフちゃうかなと)私が思春期ならそれを聞いて絶望してたかもしれませんが、サンカの人しか見れへんというわけじゃなく、なんとなく…なんとなくですが自然そのものが人によって見えるものが違うのかなとか、石像が映画にちょいちょい出てきましたが、こういう人のつくった作品とかに魂が宿るみたいな、思ったより近いところにその世界があるのかな?と思いました。
めっちゃ長くなってしまったし、これ読んで興味もってくれる人がいるかまったく自信ないけど…もし少しでも引っかかるところがあったらぜひとも観てください。民藝好きな人は美術や小道具見るだけでもおもしろいと思います。