京都を中心に活動するニット・アーティストatricot(アトリコット)のHPです。ニット作品やオリジナル手紡ぎ糸、ニットカフェ、レッスン動画、羊や糸紡ぎなどについて紹介しています。

hitsuji / atricotの羊考

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atricotの羊考


hitsuji / atricotの羊考
動物園で羊を見たことがありますか?
特に、正面からお顔をじーっと。あの、離れた目と横長の瞳孔を見ると、なんかせせら笑われているようで、全然かわいくないっ(笑)
でも、ほしい毛糸がないからっていう、単純な理由ではじめた糸紡ぎをきっかけに、羊毛そのものに触れる機会が増え、羊を通して勉強させられることが多くなりました。それを勝手に「羊考」と呼んで、感じたことをノートに綴る日々を送っています。ここではその一部を紹介していきます。

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衣と羊考
羊考
人間にとって衣服とは大切なものですよね。羊は古くから衣服として大活躍しています。羊毛だけではなくムートンといった革も使われているのは周知のとおり。写真のように、今でもトルコや南米などの遊牧民は、コマのような簡単な器具のみを使って、いつでもどこでもスルスルと糸を紡いでいるそうです。インドではガンジーの使ったチャルカという糸紡ぎの道具が有名だし、日本でも綿を紡ぐための糸車を歴史資料館で見たことがあります。地方によっては羊ではなく、シルクや麻など素材はさまざまだと思いますが、簡単に糸にできる、そして着るものをつくることができるという点で、羊も古くから親しまれてきたのだなぁと感じることができます。
羊といえばセーター、セーターといえば、アラン模様のセーターやフィッシャーマンズセーター、カウチンなどいろいろな種類のセーターがあります。じつは私は、アラン諸島の存在を知るまでアランセーターはフランスの俳優アラン・ドロンが流行らせたセーターだと思い込んでいました(笑)これらのセーターは今でこそポピュラーになり、誰もが一度は目にしたり実際着たりしていますが、どれもその土地の伝統から生まれたものなんですよね。
北方のアイルランドの漁師が着る伝統的なフィッシャーマンズセーターは、水をはじいて防寒性を高めるために、わざと脂のついたままの羊を紡いでつくるそうです。これにはなるほど!と思いました。そしてフィッシャーマンズセーターにはいろんな模様があるのですが、フィッシャーマンにとっては、遭難したときの身元確認のための家紋の役割を果たしているそうです。そしてアラン模様特有の縄編みは、「命綱」や「大漁」を願う特別な意味が込められているとか。。日々なにげなく着ているものにそんな意味があるなんて、おもしろいですね。その土地その土地の伝統を知れば知るほど人と羊の結びつきの深さを感じます。
『SPINNUTS NO.66』の「世界の気候 とスピンドル」から。
世界各国で使われるスピンドルの違いを、世界の気候、羊の分布図とあわせて見ることができます。

食と羊考
羊考
日本で有名なジンギスカンは、高タンパク、高ミネラルかつ、ダイエットにいいとされているアミノ酸の一種、カルチニンが豊富に含まれているそうです。しかし、牛肉や豚肉に比べると、まだまだ馴染みがありませんね。ですが、羊飼育の盛んなオーストラリアやニュージーランド、豚肉を禁忌しているイスラム圏の国では、羊肉の消費量が多く、羊乳を加工して主食にしている国もあるそうです。
スピンハウス・ポンタさんで羊のフルコースをいただいたことがあります。どのお皿もとっても美味しく、なかでもヒレのたたきはビックリするほどクセがないし、ほどよく甘くて絶品! ほかにもレバーや胃袋、果ては皮まで堪能しました。
授かった羊の命を余すことなく使おうとする姿勢に感動しましたが、同時に、人間があたりまえにやっていかなければならないことだなあと思いました。

住と羊考
羊考
衣と食以外にも、羊はミラクルな機能を果たしてくれています。
なんと、羊毛には空気を浄化する働きがあり、シックハウスの原因であるホルムアルデヒトなどの有害物質を無毒化させるそうです。また、保湿・保温に優れ、ほかの繊維よりも燃えにくいため、断熱材として注目されています。さらに、羊毛は良質の肥料になり、腸はソーセージだけではなく、バイオリンの弦やテニスのガットにも使われています。紙が発明される以前、人は羊の皮を乾燥させて、紙として使っていました。羊が人間に与えてくれるものって、こんなにもあるんですね!
これらは『SPINNUTS NO.64』の「衣食住」という記事に書かれていたのですが、この記事を読んで本当に感銘を受けました。これ以外にも、羊毛の有効な使い道がたくさん載ってておもしろいですよ。
むかしの人が考えた智彗にはいつも頭が上がりませんが、浄化剤のように、今だからこそ自然のものが見直される動きが、これからは多くなっていったらと思います。なにも知らずに使っているものが身のまわりに溢れているなかで、こういうお話はとても勉強になります。
参考資料『SPINNUTS NO.64』

手づくりと羊考
羊考
羊毛を初めて手にしたとき、これは生きものであるということをものすごく実感しました。
刈りたての羊毛はものすごく脂ギッシュです。人間だって、髪の毛をずっと洗わなければ、頭皮から出る脂でベタベタになります。それとおなじです。羊毛を手にしたときの脂っぽさや、ぷ~んとする動物の匂い…。実際、羊の毛なのだからあたりまえなのですが、普通に売っている毛糸からは絶対に得られない感動があります。
スーパーで売っている牛肉を見て、牧場にいる牛を殺してさばいているところまでは、あまり想像出来ません。なんだか、今の時代、なんでも単なる”モノ”としてでしか扱われていないような気がします。お金を払えば、すぐ、“モノ”は得られるけれども、それができる過程をまったく知らない、人と“モノ”のとてもインスタントな関係に疑問を持ってしまいます。

まとめ
羊考
すべての、モノがつくられる過程を知ろうとするのはとても大変ですが、ほかの生きものを犠牲にして生を授かっている、つまり、それらに生かされていることをちゃんと実感したいなあ、と、私は思うのです。私にとっての手づくりは、それを感じるライフワークでもあります。
生きものに触れる。お野菜だって、コットンのTシャツだって、生きたものからつくられています。じつはみんなほぼ毎日触れているのに、実感できない環境にあります。
私のつくったものでそれをわかってほしいなどと、押しつけがましいことはけっして思いません。どれだけ時間がかかってどれだけ苦労したなんてことも、着る人にとってはどうでもいいことです。ですが、そんな思いとともに生まれたものが気持ちのいいものであることを、頭ではなく感覚で感じていただけたら、これ以上素晴らしいことってないのでは、と思います。fin.

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